王都編完成

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こんにちは、蒼生です。

ようやく地獄の王都編が完成しました。6月中に完成すればいいなと思っていたのでかなり早い目標達成です。

彩度0にする演出はEP7の伏線回収です。これからようやくソロンを追いかけるモードになります。

エリス編も半分までできたので、あと半分頑張って作ります。あとはバトルシステム完成後に色々調性する必要がありますが、今年中になんとか間に合わせたいです。

RPGただひと EP19よみがえる法典、EP19-2もう一度ここから

王都編は最初ただひとの物語の中にはありませんでした。でも今だから作る必要があると思い作りました。

 

民主政治は弱者が強者をしばるシステム

民主主義は最悪の政治形態らしい。ただし、これまでに試されたすべての形態を別にすればの話であるが。

It has been said that democracy is the worst form of government except all the others that have been tried.

非常に有名なチャーチルの言葉です。

ご存知の通りチャーチルは、ヒトラーという強烈な独裁者と同時代に生きて英国首相という立場で戦いました。

ヒトラーは敗戦国ドイツを驚異の経済復活で見事に再生させ(これはヒトラーの功績というより、スーパーインフレを終息させたシャハトの知恵が大きく、彼を起用したという部分が大きい)さらに世界秩序を変えるような武力行動をつぎつぎに仕掛けていきました。

しかもヒトラーは当時世界トップレベルに民主的だったワイマール憲法の中から生まれてきた民主的に選ばれた独裁者なのです。

ワイマール憲法が死文化したのをヒトラーのみの責任として学校では雑に教えてしまいます。(これだとヒトラーみたいなカリスマがいなければいいよね、という発想になってしまいます)

でも実際は、ヒトラーの前にいた政治家たちもワイマール憲法を尊重せず、それに反する法律をばんばん作っていたのでヒトラー以前に実質憲法は死んでいる状態だったのです。

ヒトラーは、そうした憲法をまったく尊重しないという下地の上に生まれでて、最後にトドメを刺しただけなのです。

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民主政治がなぜ他の政治形態にくらべてベターなのか。

それは民主政治の根本が、弱者が強者をしばるしくみだからだろうと思います。

民主制は国民一人一人に権力を分けて多数決によりリーダーを決定します。

しかもそのリーダーが変なことをした場合、再び多数決によってリーダーをクビにできます。でもこれだけでは安心できないので、ダメ押しのように権力を縛るためのさまざまな仕組みを作っています。

司法・行政・立法の三権を分立させて互いに監視させるのも

憲法という三権を超越したルールを作ってそれらの大権をひざまずかせているのも、すべては国民という最弱者を守るためです。

こうやって見ても分かるように民主制は権力を細かく分けていき、摩擦を作り出す仕組みです。だから意思決定が独裁に比べると遅くなります。

様々な利害を調整していく必要があるからです。

民主政治は歴史上もっとも頭のいい人々が最もネガティブなことを考えて生み出した

最悪を回避するための仕組みなのです。

民主政治をただしく機能させるためには国民が賢くなければならない

民主制の失敗は衆愚政治=ポピュリズムと呼ばれる形になります。

自由からの逃走でもあるように

大多数の人は何かによりかかり、強いものに指導され、従いたい という欲求を持っています。

自分で決定し、自分で責任をとり、自分の頭で考えるというのは、おそらくほとんどの人にとって割とハードなのです。

たまに自分の人生についてまで他人に意見や判断を求める人がいます。(親・教師・上司その他)いや、なんで自分の人生も自分で決められないんだよ。自分で決めろよ。と普通に思ってしまいますが

実際のところ彼らは本当に責任を取るのが怖いのです。考えられないから意見を求めるのではないのです。

誰かのせいにしたい、誰かに従いたいと思っているのです。

自由には責任がともなう。

という大原則のうち、責任だけを回避したいと思っている人々なのです。

民主制は権力を細分化して国民一人単位にまで分けています。

民主制は人間の理性にとても強い期待をしているシステムです。

一人が間違う頻度よりは大多数が間違う頻度のほうが低いんじゃないか。という前提です。

でもその前提を機能させるためには、国民一人一人が賢くなければならないのです。

しかも誰かに寄りかかりたい従いたいという弱さを克服する強さも求めてきます

あまりに高い要求をしているように思われますか?

ですがこれが

誰かの下で生かされる不安から解放されるために必要な対価なのです。

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在野の知識人たち

民主制がベターな理由の一つに盲点を減らせることがあります。

どれほど賢い人でも人間である以上必ず盲点があります。

ある決定に対して、価値のある反論を出してくる人間が多ければ多いほど

重大な決定をするときの間違いを減らすことができます。

国単位で考えると最大の失敗は戦争です。その前には外交や経済での戦いがあります。そこで政府が下した決定に対して、いやこうした方がいいんじゃない?という意見をいう人間が沢山いた方がベターな選択をしやすくなります。

その提案をするのは別に政府の人間でなくてもいいのです。

在野の知識人がその知識を世間に広めれば、必ず誰かの目に留まり、

国民の多数がそれに賛同できれば動きは変わります。

言論の自由は民主国家ならば当然の権利として認められているものの一つですが

これは個人の権利という以上に、権力の暴走や誤りを正すためにも必要なものです。

日本にかつてあった国民総ガリ勉時代

自由や自由や 我汝と死せん。 苅宿仲衛

自由民権運動の時代、驚くべきことに日本各地で様々な私擬憲法が作られました。

その数は発見されているだけでも120を超えると言われています。

しかもそれを作ったのはごく普通の人々なのです。

トラクターもない時代に農業という激務を日中こなして、日が没すると地主や学者の家に行ってみんなでロックとかルソーとか他国の憲法について学ぶという恐るべき時代が実際にあったのです。しかも120を超える私擬憲法(国民が勝手にこんな国がいいと考えて作った憲法)のうち、五日市憲法や東洋大日本国々憲案などは現在でも通用するレベルで民主的だと言われています。

意識高すぎませんか?

物凄いハードワークのあとにみんなで集まって勉強しながら、この国をこうしたい!いや、こうした方がいい!なんて考えながら勝手に憲法作ってたんですよ。

週五で勤務。土日は寝るだけ。な人が聞いたら仰天するレベルの意識高い系。

それが日本国中にいたんです。(よくある日本スゲー番組で日本の便座は本当にすごいと毎回やってるけど、これこそ歴史的に見て、世界的に見てもすごいことだと思うんだよ)

自由民権はまだ売ってるみたいだけど↓ 東洋大日本国々憲案を起草した民権家・植木枝盛の 植木枝盛選集がもう中古(しかも何倍にも値上がりしてる)でしか売られていなかった。これは名著なので中古か図書館で探してぜひ読んでほしい。一言でいうと滅茶苦茶面白くてかっこいい!
憲法押しつけ論の幻は民権運動研究家の鈴木安蔵氏の研究と草案がどのように日本国憲法につながったかが詳しく書かれている。これは憲法押しつけ論者からすると非常に腹の立つ研究かもしれない。でも憲法は手段なのだから、目的を果たせるのなら道具はなんでもいいと思うんですよ。手段を目的化したり憲法に感情を持ちすぎてはいけない。
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国民が勝手に国を論じ、意識高い系の民主的憲法草案をがんがん作り始めた。

でもこれは当時の政府にとっては革命と近似した動きだったので、欽定憲法という形で大日本帝国憲法を公布してこれに異議を唱える者は天皇に反逆するものとして刈り取っていきました。(明治政府は権力のために天皇を本当にうまく使った。虎の威をかる狐)

後に大問題を起こす天皇の統帥権についても、当時の意識高い系の国民の中には、将来これは絶対に問題を引き起こす。と見抜いていた人は少なからずいたようです。(他国の憲法や近代思想に通暁してるとやはり気づくようです…さすが意識高い系)

第二次大戦の軍部の暴走はまさに統帥権を盾に政治のコントロールを拒否した結果でした。欽定憲法の問題は、憲法をありがたいものだという錯覚を国民や政治家や軍人に与えてしまったことです。天皇から与えられた憲法を変えるなんておそれおおい!そんなことはできない。これに文句言うやつは全員非国民だ!ひっとらえろ!という流れができてしまいました。

でも憲法は決してありがたいものであってはならないのです。

そもそも憲法を作って権力を縛るのは、弱い存在がより強い者を縛るためです。そのためのルールなのです。(弱者の視点があったから私擬憲法の中のいくつかは現代でも通用するレベルで民主的なのでしょう)

今の日本では、立憲主義なんて習わなかった!(だから当然知らない)と平気でいう議員が議員バッジをつけていたり改憲を目的化する人々がいます。(国会議員センター試験いるんじゃないの?って思った件)

議員が憲法を全く尊重しないという点でワイマール憲法の悲劇に近い状況がすでにあるように思います。

憲法は手段であって決して目的ではありません。手段を目的化している人々は民主制の根本を理解していません。

憲法は手段であり、それは最弱者を守るためにのみ存在するのです。

憲法が紙切れになるとき

国家は、司法権・行政権・立法権・軍隊・警察・貨幣鋳造権 その他さまざまな巨大権力を持っている。

我々一般人が罪を犯せば警察につかまる。でも国家が罪を犯したときは?

憲法の特殊なところは、憲法には後ろ盾がないことだ。憲法は紙切れで巨大権力をしばっている。   小林節

これを聞いたとき衝撃を受けました。

ワイマール憲法がそうだったように、権力者が憲法を尊重しなくなると、本当に紙切れになってしまうのです。憲法が機能するのは、それを権力者が尊重する態度があってこそ、この紙切れには国民の生命・自由・財産がかかっている。決して傷つけてはならないという自制心が働いてこそなのです。

改憲をするのは、この根本を理解し、そのために憲法を手段として使い権力をしばるためです。決して手段を目的化してはいけません。(ヒトラーの教訓を持つドイツでは永久条項というのがある。これにより民主主義の原則を変更不可能にしている。国民の権利等を定めたもので日本国憲法の三章がそれにあたる)

(今の改憲推進派は国民の権利三章、つまりドイツの永久条項に該当する部分の改憲にはとても意欲的だが、時代遅れではと言われる四章~八章の統治機関については全然本気じゃない。つまり既得権は保持するが国民のくびきからは逃れたいという内容。改憲のハードルは高いのでそう簡単には改憲できないがワイマール憲法の例のように法律で内側から破る事は可能。ぜひ自民党が出している憲法草案を読んでほしい。戦慄する)

小林節さんが積極的に公演をなさっていたのはもう何年も前の話で、

それを聞いたときのことを私は忘れていません。

知識が高度に細分化された現在、その道を究めた学者にとっては当たり前なことも噛み砕いて説明してもらわなければ、専門外の人間には分かりません。

憲法は知識としては知っていても、それをもとに現実に適用された場合(憲法をもとに法律は作られる)どうなるかまでは、その道の人間でないと想像力が働きません。

学者は知識において比較優位なので、その優位性によって他の人々を教え導く必要があるのではないか、私はそう思います。小林節さんもそのような信念をもって活動されていました。

先述したように民主政治は国民一人一人が賢明でなければ上手く機能しません。

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まいた種は刈り取らねばならない。

王都編は最初ただひとの物語の中にはありませんでした。けれど必ず形にせねばと思いいれました。。ゲームにするのに時間がかかってしまいましたが、ようやくここまでたどり着きました。フィクションだからこそのメリットがきっとあります。

国民がまちがったときリーダーは

アメリカ建国の父ワシントンが初代大統領になったあと、任期は二期八年で終えたのはその後先例となり、今でも大統領は二期までとなっています。(例外は戦争中大統領だったフランクリン・ルーズベルト)

ワシントンの時代、まわりはみな王朝です。ワシントン王朝を作っても全然問題ないばかりか、きっと国民に歓迎されたはずです。

けれどワシントンが二期でやめたのは、自分が先例となりアメリカの民主政治の土台をつくらなければならないという意識がきっとあったからでしょう。

権力は必ず腐敗する。だからその腐敗をおこさないためには権力に期限を設ける必要がある。

 

民主制がベターな政治体制だとしても、やはりそれを動かすのが人間である以上必ず間違えます。民主制という数のパワーで間違えた場合、リーダーはもしかしたらその数と戦わなければならなくなります。

一番は少数派の弾圧(性的少数派、少数民族など)という形でおこります。

けれどリーダーはこの数の暴力と戦わなければ、少数派を弾圧することになります。(歴史上こういう事が多く起こってきたのでリーダーが決定するまでもなく、多くの場合ルールで規定するようになりました。トランプが特定の国からの入国を禁止する大統領令を出したとき、違憲として司法が待ったをかけて止めたのが分かりやすい例です)

あるいは本当に正しいことを選択できなくなります。

日本の例でいうと小村寿太郎が分かりやすい例です。

日露戦争はぎりぎり勝てたという戦争でしたが、国民世論は完全に浮かれていました。

そして勝ったのだからロシアからたくさん賠償金を分捕れると期待していました。

でも実際はそうならず、国民の期待は怒りにかわり和平交渉をした小村に向かいました。(ポーツマス条約)小村はこうなることをすべて理解していましたし、激しい批判にさらされることも予想していました。

しかし、今ここで和平を結ばなければ日本が滅ぶと分かっていたので、すべてを甘受して国民を敵に回すことをやってのけたのです。(実際交渉自体もかなり厳しいものだったようです)

国民が熱狂したとき、その熱狂が間違った方向に向かった時、

リーダーは責めを受け、あるいはその責を国民の代わりにすべて負わなければならなくなります。非常に理不尽なことです。

でもリーダーはその理不尽さを引き受けるからリーダーなのです。

もし小村が国民世論におされて多額の賠償金を要求するような真似をして

交渉を決裂でもさせてしまったら、国力の差が半端ないのですから負けるに決まっています。小村にはそれが分かっていたので講和条約を結ぶことを最優先にしたのです。

(ところで日露戦争の借金は平成になってようやく返済しおわったそうです…戦争のリスクは半端ない。でも明治維新から第二次大戦まで日本は戦争中毒のような状態でした)

こんなことを色々考えながら王都編作ってました。

死文化した憲法を復活させるのは現実的にはありえないと思うんですが、ゲームなのでそういう象徴的なものがあった方が分かりやすいかなと思いそうしました。

次はEP20を作り始めます。

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