こんにちは、蒼生です。2020-03-30
昨今新型コロナウィルスが猛威を振るっており、
経済・医療・文化あらゆる面で大きな打撃を受けております。
先日は経済に関しての記事を書きましたが
経済よりも深刻な分野があることに気づかされました。
今回はそれについて書こうと思います。
日本は残念ながら芸術にお金以外の価値を見出さなかった
経済よりも深刻な分野とはずばり芸術分野です。
なぜ芸術分野が経済分野よりも深刻かというと、日本においては見捨てられやすい分野であることがこの騒動ではっきりとしたからです。
私は従来芸術分野は経済の一領域であると考えてきました。
実際文化芸術産業は毎年巨額のGDPを稼ぎ出しており(2016年の文化庁資料では10兆超え、それ以降の別の資料では14兆と書いているものも。農林水産分野が5.8兆なのを考えるといかに巨大な産業かわかります)
その額は日本のコンテンツの人気とあいまって政府の目のとまるところとなり
クールジャパンなどといわれるようにまでなりました。
経産省も、日本の文化産業を育てていき「稼ぐ柱」として
現在550兆未満のGDPを総額600兆まで押し上げたいという期待をこめた資料まで作っています。(文化産業は物に依拠しない産業なので従来の工業などで売り上げを伸ばすよりもそれは容易なのではないかと思います)
政府は平時においては文化産業に期待し、税収をあげるための稼ぐ柱として期待しているのです。私はそれでいいと思っていました。
日本のコンテンツ産業が世界的に人気になっていけば経済面でも潤うし、人々の信頼や尊敬も自然に集まっていくのだろうと思っていました。
(日本は昔から自国のものに価値があるとは思えない国民性らしく、文化も物も輸入したがります。それは別に進取の気性ということでいいのですが、でもそれは自国の文化を軽視する姿勢とセットのようです。そのため文化でも物でも、大したことないと思っていた自国のものが海外で評価されるようになってはじめて評価できるようになるようです。他人の目で評価するという日本文化らしい特徴だと思います)
好きなことで稼いでいるのなら大変な目にあって当然だという謎の一般認識
けれどコロナ騒動で一変します。
クールジャパンや稼ぐ柱として期待されていた文化産業を政府も国民も真っ先に切り捨てました。
まず最初に悲鳴があがったのは演劇界やライブなどを行う音楽界です。
これらは多くの人を集め、ともに分かち合うことを主眼においている文化産業です。
密室で多くの人が集まるため感染しやすい環境であることから、そうした場所に行くことが避けられるのは仕方ないのですが
もっとも深刻だと思ったのは政府の無責任な自粛要請です。
日本は戦前から上の者が責任を取らず下の者に無理をさせる構造があると指摘されています。それを可能にするのは日本人の高度に発達した忖度能力です。
今回政府が自粛要請(お願い)をしただけで多くのライブや演劇が忖度して一斉にイベントを中止しました。
お願いしただけでここまで動いてくれる国民はおそらく他にはないと思います。普通は強制力や補償を合わせてようやく動いてくれるのですから。日本人はコスパのいい民族です。
でもだからただのお願いであなたたちは動いた。自分で決定した。
という忖度という優しさへの過度な依存が発生しているのです。
上の者が適当なことをしていても下の者が無理をしてなんとか帳尻を合わせるという構造がまたもや発生しています。
演劇界や音楽界は自粛要請に応じることで多額の赤字を背負い込み、明日の生活すらわからなくなっている人が大勢表れています。
普通政府の要請に応じて受ける損失ならば、完全ではないとしてもきちんと補償されるべきものです。それが国民を守り、産業を守る政府としての責任というものです。そのために普段国民は税金を払っているのですから。
なのに現政府はそれを拒み、赤字の補填は無理だと言っています。
ただのお願いに応じたのはそっちだよね???
という優しさへの甘えが透けて見えます。
それにはさすがの演劇界や音楽界も窮状を訴えたり、要望をあげるようになりました。
無計画でふわっとした政府の自粛要請のせいで大きな経済損失を被っているのですから当然の主張です。
ですが、今度は恐るべきことに
一般の人々が貧窮している彼らに罵声を浴びせるようになりました。
・好きなことをして稼いでいるのだから辛いのは当然
・こうなることも分かっていてその道を選んだんでしょ?(今の窮状は自己責任)
・みんな辛いのだから文句言うな(みんなで不幸になろう圧力)
・政府から自粛を求められるような事業で稼いでいるのが問題。(!?)補填を求めるのは筋違い(!???)
こんな心無い罵声を、政府の「無責任なお願い」を聞いた結果窮状に陥っている人々に向けて放つ同じ国民が後を絶ちません。
お殿様の奢侈を支えるために年貢を納めて、それが一銭も返ってこなくても文句を言わない封建時代の農民を彷彿とさせる光景です。
忖度と同調圧力が日本社会の特徴ですが
こうした罵声が出てくるのは芸術分野にかかわる人々への職業差別があるからにほかなりません。
・好きなことをして稼いでいる人は楽なことをして稼いでいるのだから辛い目にあっても見捨ててもいい。(仕事はつらくて嫌なものという固定観念)
・芸術なんて腹の足しにもならない。中小企業が救済されるのは妥当だが、芸術分野はその必要がない。(工業商業に比べ劣っている)
・そもそも世の中に不要なもの。
文化産業は立派な産業であり、その生み出すものはSONYやTOYOTAが生み出すものと変わりありません。
実際莫大なGDPを稼ぎ出し、納税し、人々の社会と生活を支える一部です。
芸術分野にかかわる人々も国民でありそれぞれが税金を払って国の財政を支えているのです。もし政府の要請に従って損失を被るなら救済措置をとられるべき対象です。
ドイツ コロナからの芸術保護の為に最大6兆の予算を組む
イギリス 212億確保
日本 気合で乗り切ろうポエム発表。補償なき自粛要請で文化が瀕死状態ドイツ文化担当大臣
「われわれは、自己責任ではない困窮や困難に対応し、これを救済しなくてはなりません」
心に響くなあ#自粛と給付はセットだろ
日本と違い本気で芸術を救おうとするドイツ
平時はクールジャパンといって税収増を見込み、もてはやしていたものの、
風向きが変わったとたん文化産業を救済する気がない日本政府とは違い、
文化の救済に本気の国があります。
ヨーロッパの工業国であり世界第四位の経済大国ドイツです。
ドイツは今年国の英雄ベートーヴェンの生誕250年だったため、本当に数多くのイベントが企画されていたことと思います。それらがすべてコロナの影響でつぶれてしまったのですから損失は莫大なものだったでしょう。
けれどドイツは決してそれを日本のように見捨てたりはしませんでした。
「われわれは、しかし、現在の状況にあって、文化は良き時代においてのみ享受される贅沢品などではない、と認識しています。ある一定期間、文化活動を諦めなければならないとすれば、それがどれほどの喪失であるかも、われわれは理解しています」
「われわれは、自己責任ではない困窮や困難に対応し、これを救済しなくてはなりません。これは、経済的な救済であるだけなく、中止・キャンセルによって激しく揺さぶられている文化の世界を救うことでもあるのです」
グリュッタース大臣は「コロナウィルスは、文化国家としてのドイツを形成している多くの芸術家のライフスタイルに対する大きな脅威でもある」との認識を示した。
ぜひ全文を読んでほしいと思います。
ドイツは日本円にして約6兆円の芸術保護予算を発表しています。それはドイツにとって芸術がいかに大切なものであり守るべきものであるかということを強い決意とともに示しています。
ドイツが芸術を本気で救おうとするのは芸術が魂を救うものという価値観が大きいと思う。それもベートーヴェン以降の芸術家が価値観を変えてきたからだと思う。
日本では芸術は単に趣味で価値の低いエンタメ扱いされがち。
浮世絵は梱包資材としてゴミ扱いしてたものを外国人が評価したのは有名。
はっきり言って日本人は日本の文化産業を昔から大したことがないもの
言葉を極めるなら不用品(ゴミ)だと思っていて、有事には真っ先に切り捨てても構わないもの、と政府のトップから一般市民に至るまで思っているということがコロナ騒動で明らかになりました。
この事実を濁して和らげてはならないと思います。
そんなの思い込みだなどと誤魔化してはいけません。
実際これほど明白に捨てられようとしているのですから。
けれどドイツだって昔からこれほど芸術家の地位が高かったわけではありません。
ベートーヴェンは芸術家だがモーツアルトは職人だったというのは、音楽が好きな人ならどこかで聞いたことがあると思います。モーツアルトはあれほどの才能があっても貴族たちの暇つぶしのために才能を供し、雇い主に物を申すということが滅多にありませんでした。ハイドンもそうです。
けれどベートーヴェンは当時としては傲慢ともとれる態度で芸術家の地位を主張しました。演奏中にしゃべっている人間(貴族・雇い主)がいたら演奏をやめて怒り出し、
王侯貴族が道の向こうからやってきてもふんぞり返って逆に挨拶を受けるという始末です。(同行していたゲーテはその不遜ぶりに驚き憤慨しています)
彼は音楽を高尚なもの(魂を高めるもの)と思っていたので決して従来のあり方(暇つぶし、消費されるものとしての音楽)には屈しなかったのです。
彼の態度と作品によってそれは受け入れられ、そして彼を尊敬する多くの音楽家たちによってそうした考え方が受け継がれていきます。
リストなどはヨーロッパにあるノブレスオブリージュ(高貴さは(義務を)強制する。を意味し、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には義務が伴うことを指す。)という考え方を天才にも広げ、その人生と才能を世界のために捧げようとしました。
今あげたのは音楽史に限定していますが、ありとあらゆる分野の芸術家がそうした革新運動を行い、芸術の地位を高めてきたのだろうと思います。
だから映画善き人のためのソナタでは音楽が人の良心に訴えかけて人が変わり行いが変わるということを表現したりするのだと思います。
(日本でも音楽作品を扱った文芸や作品が最近増えましたが、扱いが本当に浅いと思います。それは作家側も音楽を所詮消費されるもの娯楽という地位でしか捉えていないからです。もし違うなら、自然とそうした表現になるはずですし、私ならそうします。同じ芸術家同士でこれなら、いわんや一般の人をや)
グリュッタース文化大臣の
現在の状況にあって、文化は良き時代においてのみ享受される贅沢品などではない、と認識しています。
という言葉と施策が果たして今の日本に受け入れられるでしょうか?
私は絶対にNOだと思います。
この言葉が刺さるのは芸術家界隈に限定され、一般の人々は反発するだろうと思います。でもそれは、日本の芸術家の歴代の行いがそうさせているのです。
職業差別を見逃していなかったか。
人々の認識を変えるような努力をしてきたか。
そもそもその作品で人々に尽くしていたか。
私はベートーヴェンの作品で考え方が大きく変わった人間なので、彼の作品と考え方を基準に考えます。(残念ながら日本の芸術家でそれほどの影響を及ぼすような作品と人にいまだかつて会ったことがないのです)
日本で今、コロナを理由に文化とそれに関わる人々を真っ先に見捨てようとする動きは
まさに今までの行いと歴史の終点であると考えます。
ですがだからこそ、これを今までの区切りとして、今後は大きく変わっていくべきであると考えます。
日本の芸術家は人々を救ってきたか?
芸術は最も儚いものです。
腹の足しにもならない。と言われたらその通りだ!と認めなければなりません。
けれど芸術にかかわる者なら、それがどれほどの価値を人々に与えることができるか
知っているはずです。
今はそれを世間一般に認めさせる努力を怠ってきた結果だと思います。
(ヨーロッパでは富裕層の節税候補として芸術への支援があるそうですが日本で何故それがないのか不思議です。税はその国の価値観を表しています)
あっても無くても困らないものとして、芸術によく似ているのが宗教です。
リストは芸術と宗教は似ていると言ったそうですが(ショパンの本だったかな。でもこういう考え方をするのはベートーヴェンとリストくらいで、他の音楽家とはちょっと違う)
宗教でいい教えを唱えていても腹はふくれません。でもその教えは人々の心を豊かにして有形無形の形で助けます。だから多くの支持を集め、無税という破格の地位も得ています。
ベートーヴェンの作品が多くの人々の心を救い、圧倒的な支持を得ているのは、それがある部分でそれと似ているからだと思います。腹は全然膨れませんが、それで救われた人が大勢いるのです。
今回のコロナ騒動で、日本における文化産業は相変わらず
底辺の被差別産業である事実が明らかになりました。
この認識から出発しましょう。ごまかしてはいけません。そうすれば今までと同じようにずっと軽んじられる底辺のままです。
日本の文化産業はすでに巨額の産業として認識されています。
経産省もこれを稼ぐ柱としてGDP600兆を目指そうなどと皮算用をしているくらいに飛びぬけて稼いでいるのです。そして沢山税金を払ってきました。
でもいくら稼いで税金を払ってもその地位はずっと底辺のままだということが
はっきりしました。
日本国民の多くはいまだ芸術の価値を認めず不用品だと思っています。
不用品が思いがけず金になった(メルカリ?)的な認識でしかなかったのです。
だからコロナで窮地に立たされた時真っ先に見捨てて切り離そうとします。
尊敬は決して今のままで得られるものではありません。
私は芸術家という言葉を普段使いません。
エンタメという言葉に至っては嫌いです。
自分のことを芸術家だと思ったこともありませんでした。
しかしこの状況を前にして、自分は芸術の地位を上げられるようにしたいと思いました。(別に呼び方は何でもいいんです。要は姿勢の問題です)
今の状況に不満を持つクリエイターの多くが
一人一人その重い問題意識と理想を背負い、活動を続ければ、
きっと大きく変わるのではないかと思います。
グリュッタース文化大臣の
現在の状況にあって、文化は良き時代においてのみ享受される贅沢品などではない、と認識しています。
という言葉を自然に人々に受け入れてもらえるようにしたいのです。
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